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平成13年1月20日に公示され、同年4月1日に施行された、有機JAS法の有機基準が、土壌に投入する資材について、遺伝子操作を容認する内容になっている。
種苗と、病害虫・雑草駆除および農産物の調製等に使用する資材については、遺伝子操作によるものを禁止しているが、それ以外の部分については、その規定がない。
つまり、なたね油かす、大豆油かす、そして、ダイズやトウモロコシなどの遺伝子操作飼料を与えた家畜の排泄物を原料とした堆肥も、有機として認められることになる。
有機食品に遺伝子操作技術を認めないことは、コーデックスの国際有機ガイドライン
をはじめ、基準のレベルでは、世界的な常識になっている。
(コーデックスについては、http://axis.vcom.or.jp/codex1.html)
畜産に関して、日本では、基本的にクローン牛などの受精卵移植技術や、ホルモンを利用した繁殖技術を用いたものには有機表示を認めない。また、使用される飼料も、最終的には原則として100%有機飼料に限りたい意向だが、各国の飼料供給事情などにより、当面は、牛など反すう畜産物の飼料は乾物重量ベースで最低85%、豚など非反すう畜産物は最低80%の有機飼料を与えたものでなければ有機表示を認めない、とする方針になっておるにもかかわらず、農産物に関しては、遺伝子操作飼料を与えた家畜の排泄物を原料とした堆肥も、有機として認められることになり、矛盾した結果となる。
それに関連するかどうか、このような話しがある。最近除草剤を使わない代わりに、カルガモを使った農法がある。カルガモが除草してくれると言うのだ。しかし、カルガモが小さい時は、田んぼの雑草が餌の量としては良いのだが、カルガモが大きくなるにつれて、田んぼの雑草だけでは足りなくなる。そうなると、飼料を別に与えなければならなくなる。岩手県の、米作り名人から聞いた話しだが、その飼料には、病気を予防する薬や、はたまた、遺伝子操作された食物が入っていないとは限らないと言う。その、カルガモが、田んぼで排泄したら同じ事だと厳しく言っていたことを思い出す。ま、カルガモの排泄なんて、本当にビビたるものだが、本当にこだわる人はそこまでこだわる。(余談だが、カルガモ農法の悪い点は、カモが、イネの根を痛めると言った話しも聞いたことがある。)
1997年12月に、アメリカ有機食品生産法の施行規則案で、今回のJAS規格同様、遺伝子操作を容認するような内容が公表された際も、全米、全世界から、アメリカ農務省に対し、抗議のコメントが送られ、遺伝子操作は全面的に排除するとの方向転換がなされた。
SOS(Save Organic
Safe:遺伝子操作を認める有機基準に反対するアピール)事務局のある、Axis委員会連合では、平成11年9月3日付の農水省へのコメントの中で、肥料及び土壌改良資材についても、遺伝子組換え技術により得られたものを除く旨を追加するよう求めていましたが、その内容は盛り込まれなかったのです。
現在、遺伝子を操作した作物の危険性がはっきりしていない現在、直接食べ物として人の口に入るものではなくても、国際的な基準を元に慎重にしなければならないのではないだろうか。
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